当院からのお知らせ
冬季の血糖測定器,インスリン製剤の保管に関して
冬場は,外気温が氷点下を記録することが多く,患者さんから血糖測定器の不具合に関する相談を受けることがあります.今回は,冬季の血糖測定器及びインスリン製剤の取り扱いに関してお伝えします.
① 血糖測定器に関して
測定器の温度が低いと,測定器に不具合が出て血糖測定ができないことがあります.
岐阜県における調査によると,冬季に測定上の不具合を認めた方が全体の16.5%と報告されています.(松本ほか;糖尿病53,2010)不具合の内容としては,「高い値が出た」「エラー表示が出た」「測定不能となった」などが挙げられております
ちなみに,当院で主に使用されている測定器の動作環境は,下記となっております.
「ワンタッチベリオビュー」 : 6 – 44 ℃
「アキュチェックガイド」 : 4-45 ℃
正しい測定値を得るためには,
・測定機本体や試験紙が室温になじむまで10-20分放置し,時間をおいて測定をすることが重要です.
・その際,穿刺する部位もあたため,血流を良くしておくことが重要です.
・寝る前に布団や,電源を消したこたつの中で温めてからお休みいただくのが良いかもしれません.(暖房器具で直接温めるのは故障の原因になります)
相談のあった方は,車の中での血糖測定ができなかったケースで,冬の自動車内は自宅より温度が低くなり血糖測定には適しておりませんので注意しましょう.
② インスリン製剤管理の注意事項
インスリン製剤の管理において,夏場の変性と同様,冬場の凍結への注意が必要です.
凍結すると・・・
1) 作用する時間が変わるなど品質が保てない!
2) ゴム栓(注射針との接続部位)が膨らむ、インスリンカートリッジのひび割れ,
カートリッジ内に大きな気泡ができる
3) 注入器が故障して注射できなくなることがある
以上のようなことが起こりえますので、起こった場合は使用しないようにしましょう.
外出時は,
・インスリンは一度でも凍ると薬液が変化してしまうので、冬はタオルに包んで持ち歩くなどの工夫をしましょう。
・飛行機に乗るときには、貨物室内で凍結することがありますので、機内に持ち込んでください(これはよく質問されます)
こちらは冬場とは直接関係ないですが、未使用のインスリンの保管に関して。
未使用のものは、基本的に冷蔵庫保管になります.
その際,凍結防止のため
・フリーザー内や吹き出し口からの冷風が直接当たる場所に置かない。
・冷蔵室内を「強冷」に設定した場合、凍結することがある。
・凍結を避けるため冷却風の当たらないドアポケットなどに外箱のまま入れる。
といったことに注意しましょう
